「身土不二」
”暮らす土地や環境”と”暮らす人”は切っても切れない関係という意味です。
体と心は、自然が持つ力と調和を保ちながらバランスをとっています。
冬には冬の食材を取り入れること。
暮らす土地の食材や、食文化を取り入れること。
それは、体と心を整えることにもつながります。
今回は、中国の伝統医学である「中医学」の観点から「身土不二」という考え方についてお話します。
身近な”身土不二”の取り入れ方も紹介しますね
もくじ
「身土不二」とは
「身土不二」とは、中国の古典的な哲学から生まれた言葉です。
その意味は、
自分の身体(身)と、暮らす土地や環境(土)は一体である。
ということを表しています。
つまり、私たちの体と心は、暮らす土地や環境と調和を保ちながら、バランスをとっているということですね。
季節と食材
食材の一つ一つが、それぞれの性質を持つ薬膳の考え方。
トマト・キュウリ・ナスなど”夏野菜”は体を冷やす性質があります。
これは、夏の暑さで熱を持った体を冷ますためです。
逆に、冬に旬を迎えるかぶ・大根・ごぼうなど根菜は体を温めるはたらきがあります。
旬の食材には、その季節を心地よく暮らすための性質が備わっているんです。
産地と食材
季節のほかに、食材が育ちやすい「産地」もまた大きく関わります。
バナナ・パイナップル・マンゴーなどは熱帯の地域で育てられることが多いですよね。
これは、熱帯で暮らす人の体にこもった熱を冷ます性質があるためです。
りんご・ぶどう・桃などは寒い地域でよく育てられており、体を冷やしません。
体を潤して、乾燥から守る性質があります。
その土地や環境で育つ食材には、そこで暮らすために必要なエネルギーがたくさん詰まっているんだね。
身土不二を暮らしに取り入れる
スーパーの棚にはきれいに整った形の野菜や、一年を通して手に入る食材がたくさん並んでいますよね。
便利さを感じながらも、大量生産された加工品や季節外れの食材に少し違和感を感じてしまう時があります。
しかし、便利さや家族の好みを考えると、ついつい手が伸びてしまうものです。
無理せずに始める、身近な「身土不二」な暮らしを紹介します。
1.地域の産直や直売所に行く
産直は、地域で育てられた新鮮な農産物や食材の宝庫です。
旬の野菜や果物はもちろん、めずらしい食材との出会いも楽しむことができます。
移り行く季節を、食材の変化から感じるのも楽しみのひとつです。
店内の一部が、産直コーナーになっているスーパーも増えています。
価格も産直コーナーのほうがお得な場合も多いので、のぞいてみてくださいね。
2.おうちで植物にふれる
自宅で、家庭菜園やガーデニング。
春に苗を植え、育てる過程や、夏の収穫を楽しむことができます。
秋に植えた球根が、あたたかくなる春に、芽がでる喜びも感じます。
花屋さんで季節の花を購入してお部屋に飾るだけでも、おうちの中で季節のめぐりを感じることができますよ。
3.自然とふれ合う
家族で自然の中へおでかけ。
くり拾いに行ってみる。
何気ない日常も、季節の移り変わりを感じながら過ごすと新しいものが見えてきます。
まずは、朝日を浴びながら深呼吸することから始めてみましょう。
それだけでも、日の長さの変化や、朝の空気の違いから季節の移り変わりを感じることができますよ。
4.地域の行事に参加してみる
地域のお祭りや行事に参加することで、地域の文化や伝統にふれることができます。
その土地に暮らす人が、大切にしているものや考え方を知ることで、心地よい暮らし方が見えてきます。
なぜ毎年この時期に行われるのか。
どんな意味があってこのお祭りが行われているのか。
そんなことを、子どもたちと一緒に探ってみるのも楽しいかもしれません。
「身土不二な暮らし」がもたらすゴキゲンな暮らし
「身土不二」を暮らしに取り入れることで自分自身、そして家族との暮らし方にも変化を感じることがあります。
旬の食材を取り入れること。
それは、食材の持つ性質によって、自然と「季節の薬膳」につながります。
春が旬のアスパラガス。
苦味と涼性の性質を持ち、体に溜まった湿を取り除きます。
秋はサツマイモが旬。
夏に弱った胃腸をいたわり体を温める性質を持ちます。
旬の食材は、その時期特有の体の不調を整えてくれますよ。
体と心は、深いつながりがあります。
体が自然と調和することで心も落ち着き、リラックスした時間が生まれます。
また、「身土不二」な暮らしは、家族で自然を楽しむ時間が増えることを感じます。
家族で、その土地で暮らすことを楽しむ。
体と心が整い、家族もトトノウ。
「身土不二な暮らし」には、そんな魅力があります。