中医学のうえに成り立つ薬膳。
体質や不調の性質をみて、食材を選び、改善や未病を導くのが薬膳です。
中医学では、体の状態や不調の様子から一人ひとりの体質に合った改善法を見つけていきます。
体質や不調を探り、治療法を見つけていく過程を「弁証論治 」といいます。
なにこれ漢字4つも並んでるし怖い・・・
中医学は漢字が多くて難しく見えるけど、一文字ずつ見てみると意味が見えてくるよ。
弁・・・物事を良く理解すること
証・・・事実を明らかにすること
論・・・論じること
治・・・治療すること
簡単に言うと
カウンセリングしてその人に合った漢方薬や養生法を見つけるよ~ということ。
中医学の基本となるのが「整体観念」という考え方でしたね。
「弁証論治」とは整体観念の考えをもとに治療法を見つけていくことです。
弁証論治を理解することによって中医学の世界がぐんっと広がりますよ。
もくじ
弁証論治とは
弁証とは症状や症候を把握し、各段階における原因・性質・臓腑・変化などを総合的に分析し結論として「証」に総括すること。論治は弁証に従い証に応じて資料原則と方法を考え適切な治療を行うこと。
はにゃ・・・?ってなりません?
もう、パタンって閉じたくなりません?笑
聞きなれない言葉や漢字が並んでいると威圧感に負けてしまいそうになりますよね。
「弁証」と「論治」に分けてゆっくりみていきましょう。
ひとつひとつ、丁寧に分解してみるとイメージしやすくなりますよ。
「弁証」とは
弁証は、簡単にいうと「情報収集」して「分析」すること
- その人の体質
- 体の栄養状態(気・血・津液の状態)
- 体の外から受ける原因となるもの
- 五臓六腑の状態
- 体が冷えているのか、熱を持っているのか
などから、体の中の情報収集をして分析をして不調の原因を探るのです。
この不調の原因となるものを中医学の言葉で「証」と呼びます。
「情報収集」の方法は4つで「四診」といわれます。
①問診 ②望診 ③聞診 ④切診
「分析」の方法として6つの「弁証法」があります。
①八綱弁証
②気血津液弁証
③臓腑弁証
④病邪弁証
⑤六経弁証
⑥衛気営血弁証
「論治」とは
弁証により不調の原因(証)となるものを探って、改善方法を決めることを「論治」といいます。
ただの「カゼ」で済ませていたものが、弁証によって、ひとりひとり違いがでるようになります。
体が冷えているのが、熱がこもっているかで改善方法にも違いがあるということですね。
中医学では「○○にはこの薬ね!」と、決まっているわけではありません。
その人の体質や生活環境によって、原因や改善方法が変わってくるのです。
オーダーメイドの改善方法が、中医学の醍醐味ですね。
一旦まとめるよ~!
「弁証」によって、わたしだけの「証」が生まれ
わたしだけの改善方法が「論治」されるんだね。
あなたの不調に寄り添ったオーダーメイドの改善方法。
それが中医学であって、「弁証論治」の役割です。
もうちょっと掘り下げて
弁証のための「四診」と「弁証法」について詳しくみていきましょう!
「四診」は情報収集の方法!
弁証論治において「証」を決めるために必要な情報収集。
情報収集する方法は問診・望診・聞診・切診と4つあり「四診」と呼びます。
見る、聞く、嗅ぐ、触る、問うなど五感を使った方法で体の情報を細かく集めていきます。
望診 ぼうしん
望診は視覚(目)によりその人の体の状態をみていきます。
体形・顔の色・皮膚・髪・目・耳・口・歯・鼻・爪・舌
など、体の状態から体質や五臓六腑の状態を診断していきます。
中でも舌の状態を見る舌診は中医学では重要とされています。
舌の色や形、表面の苔の色や質から五臓六腑の状態や病気の性質を判断します。
問診 もんしん
問診は、自覚症状や既往歴などを本人や家族に尋ねて情報を集めていきます。
食べ物の好みやライフスタイルから、生活習慣を伺うこともできますね。
聞診 ぶんしん
聞診は聴力(耳)と臭覚(鼻)により相手の声や分泌物の匂いから異常がないか確認していきます。
スムーズに会話できているか、声の出し方、咳や呼吸の音、体臭、口臭などから体の状態を診断します。
切診 せっしん
切診は触覚により体に触れたり、脈をとることで診断に必要な情報を集めていきます。
体に触れることが必要な切診については、医師や整体師などの資格がないと難しい診断方法です。
四診によって集めた情報を、次の「弁証法」によって分析していきます。
四診で得た情報を分析する「弁証法の種類」
四診によって集めた情報を分析する方法として6つの弁証法があります。
①八綱弁証
②気血津液弁証
③臓腑弁証
④病邪弁証
⑤六経弁証
⑥衛気営血弁証
中でも「八綱弁証」は弁証方法の基礎とされていて重要な弁証法です。
「気血津液弁証」や「臓腑弁証」の土台にもなる大切な弁証法です。
弁証のキホン 八綱弁証
八綱弁証とは大きく分けて陰証と陽証に分けられます。
これを「総綱」といいます。
総綱をもっと分類して
表証と裏証(病気の位置)
寒証と熱証(病気の性質)
虚証と陽証(病気の内容)
の症候にまとめて弁証する方法です。
表と裏を分析する
↓
寒と熱を分析する
↓
虚と陽を分析する
このように分析を進めていくと8つの症候に分類されます
表寒虚証
表寒実証
表熱虚証
表熱実証
裏寒虚証
裏寒実証
裏熱虚証
裏熱実証
8つの症候に分類されるので「”八”綱弁証」と呼ばれているんですね。
いやいや怖いって・・・w
こんな風に分けていくイメージだよ!
グループに分けていくイメージだね!
これをもってその人の体の状態、病気の状態に合わせた漢方薬や養生法を見つけていきます。
これが、弁証法で一番の基礎となる「八綱弁証」です。
中医学の基礎②弁証論治 まとめ
- 「弁証論治」とは”整体観念”という考えをもとに治療法を見つけていく過程のこと
- カウンセリングして必要な情報を導き、その人に合った改善方法を見つけていく
- 「弁証論治」は中医学によって不調を取り除くための土台となる
- 弁証=情報収集して分析すること
- 論治=弁証により導いた不調の原因をもとに改善方法を論じること
- 情報収集の種類は4つ(四診)
- 弁証方法の種類は6つ
- 八綱弁証は弁証法の中でいちばん重要とされている
難しい漢字の羅列もひとつひとつ丁寧に分解してみると見えてくるものがあります。
あなただけの証、あなただけの治療法を導く「弁証論治」
薬膳を知るうえでの基礎となります。