薬膳に興味をもつと「中医学」という言葉をよく耳にしますよね。
中医学って医学だよね…?どうして薬膳と関係あるの?
それは、「薬膳」は本来、中医学の治療法のひとつだからだよ~!
- 漢方
- 鍼灸
- 推拿(すいな)
- 気功
- 薬膳
中医学には、このような分野が治療法として含まれます。
そう、薬膳は「中医学」のうえに成り立っている食事法なのです。
そして、中医学は自然哲学や理論に基づいた医学です。
中医学の理論を理解することではじめて、薬膳に使う食材や調理法に、目的を持つことできるのです。
中医学の基本的な考え方として大きく分けて2つあります。
- 整体観念 ・・・中医学の基礎となる「考え方」
- 弁証論治 ・・・整体観念の考え方をもとに、体質や不調の改善方法を決めること。
この記事では特徴のひとつめ、「整体観念」についてお話します。
- 「整体観念」は、2つの「考え方」から成り立っていること
- 2つの考え方の意味
- 「満月前症候群」について
中医学の特徴①「整体観念」についてイメージできるよ!
もくじ
「整体観念」とは
整体観念は2つの考え方から成り立ちます。
- 1.体は全体でひとつだということ
- 2.自然界と体はつながっているということ
「整体観念」 1.体は全体でひとつだということ
中医学では体の中を「五臓六腑」というグループに分けています。
- 「五臓」(肝・心・脾・肺・腎)
- 「六腑」(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)
五臓六腑それぞれには、はたらき方の特徴があります。
そして、それぞれの臓腑がつながって、バランスをとりながら働いていると考えます。
西洋医学では、肝臓の不調は肝臓を、手のしびれは手を診察するように、実際に不調が出ている部位に着目しますよね。
中医学の考え方は、症状に着目する西洋医学とはちょっと違います。
その人の体質や習慣も含めて、不調の原因を探り、根本から改善を目指すのが中医学なのです。
「不調がでている部位だけの問題ではない」と考えるんですね。
五臓六腑がお互いにつながりあい、バランスを保っているということです。
西洋医学が臓腑個人の「自己責任」とされているとすると、中医学は臓腑たちの「連帯責任」ということだね。
「整体観念」 2.自然界と体はつながっている
「整体観念」とは、
世界に存在する人・自然・宇宙・すべてのものは、つながっていてお互い影響し合っている
という考え方でもあります。
- 毎年春に起きやすい症状がある
- 環境の変化で便秘になりやすい
- 天気が良いとわくわくする
自然の変化が、体やメンタルに密接に影響しているのがわかります。
自然界にはそれぞれの季節に「六気」と呼ばれる6つの気候の変化があります。
風・寒・暑・湿・燥・火(熱)
この「六気」の影響で、体やメンタルに変化を感じるのです。
しかし六気自体に、不調の原因があるわけではありません。
六気を受け取る「自分の体や心の状態」によって、体調に変化が起こるのです。
同じ状況においても不調がでる人とでない人がいるのは「体や心の状態」が違うからです。
わくわくを生むのも、不調を生むのも「自分の体や心の状態」が左右しているということですね。
自然界の変化に、振り回されずにに生活するために大切なことがあります。
- 季節によって変化する「六気」それぞれの特徴を理解すること
- 「六気」のサイクルと調和した生活を送ること
自分の体もまた自然界の一部として考え、自然との調和を表す考え方が「整体観念」です。
「整体観念」とは体の中のバランスのこと、そして自然と体のバランスのことを意味しているんだね!
「満月・体・メンタル」満月前症候群
地球では月の引力の影響によって干潮満潮が起きます。
体の60%〜70%が海水とほぼ同じ塩分濃度の水分でできている人間の体。
人間の体もまた月の引力によって、とても影響を受けやすいのです。
満月前症候群とは
「満月前症候群」と呼ばれる症状があります。
なんとなく体調が悪い、イライラする・・・なんて時は確認してみると「満月前後だった」なんてことがあります。
満月が近づくと、月の引力によって交感神経が優位に立ちやすくなります。
体の中で陰陽の”陽”のエネルギーが強くなり体の中のバランスが崩れている状態です。
体やメンタルに不調が出やすくなり、感情も不安定になりやすいんですね。
- イライラしやすいのは自律神経が乱れているから
- 片頭痛がひどいのは、月の引力によって血管が拡張しやすくなっているから
- 体重が増えたのは「むくみ」により体内の水分が増加しているから
イライラも、体調不良も、増えた体重も、自然界の影響と捉えることができます。
自分や、他の誰かをを責める必要はないのです。
満月前症候群の付き合い方
体やメンタルに影響する満月と、うまく付き合う方法。
それは「満月が体に影響している」ということを知ることです。
どう頑張っても、「春夏秋冬」と季節はめぐります。
地球は回って、29.5日後に満月はやっていきます。
自然界の「六気」と調和した暮らし方があるように、「満月」と調和した過ごし方をします。
- 十分な睡眠をとる
睡眠により、副交感神経が優位になり体と心が休まります。 - 体に働きかける
ヨガ・ウォーキングなど適度な運動は、体をリラックスさせます。 - 趣味や好きなことをする
ストレスは体調不良を悪化させる原因になるので、好きなことに時間をかけてみましょう。 - 塩分を控える
むくみやすい時期になるので、むくみの原因になる塩分の取りすぎには注意です。
いつもと違う不調や、モヤモヤする感情がある時は
「満月のせいでこんなことになってるんだ~」
「引力ってすごいなぁ~」
というくらいの気持ちで、無理をせずゆったりと過ごしましょう。
まず「満月が体に影響している」と知ること。
自分や、周りの人を責めることなく穏やかに過ごす第一歩となります。
中医学の基礎①整体観念 まとめ
「整体観念」には大きく分けて2つの意味がありました。
1.「体は全体でひとつだということ」
2.「自然界と体はつながっている」
- 体の中の五臓六腑同士のバランスの調和
- 自然界と人間の体とのバランスの調和
を意味しています。
「今日、なんとなくだるいなぁ…」
「毎年、この時期なんとなく苦手だなぁ〜」
この 自分の”なんとなく”に気が付くこと。
そこから、何が原因になっているかな?と自分の体に聞いてあげること。
そして、整えていく方法を探ること。
それが、中医学の考え方であり、薬膳のはじめの一歩でもあります。